『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』感想


※本編のネタバレありますので注意。

プロローグ

東京は上野の公園にて、変死体が発見される。
被害者は、その公園に徘徊していた浮浪者。
主人公であるプレイヤー(刑事)とその後輩、開明時ケンは、
捜査を進めるうちに浜○真珠(○はかすれて読めない)と
書かれた巾着袋を発見する。
それが伊勢地方で作られたものだと判明し、
スマートフォンで検索すると
3つの“浜○真珠”が該当。
主人公たちは、早速伊勢志摩へと向かうのだった……。
『偽りの黒真珠』公式サイトより

感想

『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』新しいのに懐かしい“ファミコン風”テイストのアドベンチャー【先出し週刊ファミ通】

初報の2017年9月から1年半を経てリリースされた『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』。ようやく発売されて良かった良かった。一時は発売すらされないのでは?と思っちゃったよ。

“ファミコン風”と謳うだけあり8bitな画面とサウンドが特徴。コマンドも主人公は影も形もなくひたすら部下のケンに命令してストーリーを進行させていく…まんま『ポートピア連続殺人事件』と『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』だコレ。キャラクターデザインがオホーツクと同じ荒井清和氏が手掛けてるだけあり当時のゲーマー心をグリグリとくすぐって来ます。コマンド総当たりしてフラグを立てるのがADVのセオリーですが今作は部下のケン君が「スマホで検索しましょう」「話しかけてみましょう」とヒントをくれるのでフラグ立てに詰む事なくクリアしました。プレイヤーが上司なのに部下のケンに指示されまくってなんとも不思議な気分だった。

ファミコンのADVと言えば東西南北をうろうろする『ウィザードリィ』を彷彿させる迷路。ケンに「商店街を探し回ってみましょう」とこれまた指示された瞬間、やっぱり出た!さすが“ファミコン風”!思わずガッツポーズしちゃったよ。


道行く人の話を聞けば目的地に辿り着けるのがポートピアの地下迷宮やオホーツクの炭鉱ほど迷子にならずに済みました。当時のファミコンADVに比べてると進行に手間が掛からないなーと思ったけどそこらへん今風に寄せたのかな。

ストーリーはまさに火曜サスペンス劇場&旅情ミステリー。伊勢に来てさっそく『お伊勢参り』する刑事二人。
その後も『おかげ横丁(ゲーム内だとおかめよこちょうと表記)』『的矢湾大橋』に『スペイン村』と捜査兼観光地を巡り回ります。ついでにご当地グルメも堪能しちゃいます。団子だろうがとお餅だろうが「何個でも食べられちゃいます」と繰り返すケンの食レポが妙にツボ。






食べ物へのコメント求められたら「何個でも食べられちゃいます」で行こう。

旅行(正確には捜査)と言えば温泉…そしてムフフ。道中に知り合って珠海とカナの女子大生と混浴する場面があり、制作者曰く全9章中まるまる1章を混浴に割いたこだわりっぷり。ある条件を満たすと女の子バスタオルが脱げる仕様もバッチリ搭載。今や可愛らしい女の子絵が溢れかえっている世の中だけどドット絵のムフフは永遠のロマン。混浴章で珠海とケンがいい雰囲気になってまさか事件解決後に二人から結婚しましたの写真来ないよな?と例のエンディングを頭にかすめた人は他にも居ると思う。

どこまでもこだわり溢れる“ファミコン風”。そこまで辿り着くのは紆余曲折あり、ファミ通に掲載されていたインタビューによると“リッチ過ぎたら削るという無駄な作業”を行っていたらしい。画面や音楽は“ファミコン風”になっているけどテキスト面はリッチ過ぎてひらがな中心のテキストにしては詩的すぎて目が滑ったな。漢字に直してもカッコつけすぎで犯人の自白シーンとか火サスよろしく崖に追い詰めらたロケーションなのにポエミーで余裕ありすぎては?とクライマックスの展開が乗り切れなかったな。そこだけが悲しき。


Switchという現行機で“ファミコン風”ADVを体感出来るだけでも買って良かった。フラグ立ても当時ほど苦心しないので老若男女におすすめしちゃいます。この個性は唯一無二なので是非ともシリーズ化してください。

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